マジカルコネクションな日々21 韓国っぽ

6月末にマジカルコネクションの番外編として開催した歴史トークライブにて当日配布したリーフレットに書いた後書きを掲載したい。現在日本と韓国との国家間の関係は文字通り最悪になっている。この時も一触即発と書いたけど、今は更に危険水域に足を踏み入れた感がある。冷静沈着な韓国の文大統領が、会見の席で日本の対応に「盗人猛々しい」と苦々しく話していたのを見て、ここまで言わせるのか、と暗澹たる思いがした。この先どうなるか気がかりでならないが、日本がちゃんとした対応をしてもらいたいものだ。ライブに関しての記述を一部割愛したけど、ご一読ください。

 

 

  韓国っぽ、という言葉をご存知だろうか。僕は最近知った。何のことだろうと思ったら、韓国っぽいを意味するもので、若い女子の間では韓国発のファッションやメイクが人気で、書店で女性ファッション誌のコーナーで表紙を見ると、韓国風、韓国っぽの文字が並んでいたりする。そういえばKポップの人気も高く、以前書いたけど渋谷のタワーレコードはワンフロア全部がKポップのフロアになってたぐらいだから、それだけのニーズがあるということだろう。僕も今年の1月に村上春樹原作の映画「バーニング」を観て衝撃を受けて(映画の出来に賛否はあるだろうけど)、韓国映画を観るようになったし、イ・ランという韓国のシンガソングライターのCDを聴いていたり、ちょっとした韓国ブームになっている。というか、今まであまり知らなかった韓国の文化に今更ながらに触れて楽しんでいるという次第だ。うちの大学生の姪も韓国に旅行に行ってきたというし、身近にあって気軽に海外旅行が楽しめる、ごはんは美味しい、ファッションはかわいいし、コスメもエステもコスパがよくて質がいいし、音楽もカッコイイとくれば人気があるのもなるほど、と頷ける。
 だけど、書店でファッション誌が韓国を絶賛している隣には、いわゆる「嫌韓」本が並び、それが売れているのも現実だ。竹島の領土を巡る問題から従軍慰安婦の責任問題、徴用工訴訟問題など、様々な問題があって、国と国との外交関係は一触即発の状態にある、と一部ではシリアスに取り上げられている。日本と韓国の歴史は、明治時代の日韓併合から第二次大戦まで、さらに遡れば豊臣秀吉朝鮮出兵の時から不幸の歴史の連続にあったと言える。大東亜共栄圏を築き欧米諸国からアジアを守るため、という大義名分を掲げたところで、日本がやってきたことは長い歴史を通じて友好を結んできた国を軍事で植民地化したことに違いはなく、従軍慰安婦も徴用工も歴史上の事実であるのだから、どのツラ下げて韓国を敵視し、ヘイトまがいなことを口走れるのか、その神経がよくわからない。
 韓国は、実は初めての海外旅行先であった。もう23年前の話で、社員旅行で行ったわけだけど、その時は正直あまりいい思い出がなかった。海外旅行は普通に行けたのに、まだ日本の音楽や映画、文学が韓国で解禁されてなく、観光で行っただけではあるけど、あまり日本に対する印象はよくないと思われた(その逆が台湾だった)。その時は、韓国という国を快く思っていなかったのは事実だけど、それは昔の話だし、過去の話だ。今もSNSを見てて、平気でヘイトまがいなことを書き込んだり、発言をする人のツィートをリツイートしたりする人がいるのを見ると腹が立つし、本人に怒ったりすることもある。日本が今国際社会からどのように思われているかと言うと、決して好意的な思われ方ばかりでないだろう。日本は今先進国とは言えないような形骸になり、民主主義国家として最悪なレールを突き進んでいる、と非難されたら返す言葉もないけど、だからと言って日本人はバカばかりなんじゃないかと言われたら、それは違うと声を大にして言いたい。それと同じだ。だからこそ、正しい歴史を学ぶことが必要なんだと思っている。正しい歴史を学ばないから、発言力のある著名人、文化人が言ったことを真に受けてそれが正しいと思ってしまう。ちゃんとした知識があれば、いやあんたそう言うけどそれは違うよ、と反論できるのだから。
 尤も現代史は公的資料も残っているし、半藤一利さんのような歴史の生き証人のような人もいるからまだいいけど、江戸時代や戦国時代、まして鎌倉や平安になると、真実が何かよくわからない部分が多すぎて困ってしまう。「信長公記」や「太閤記」なんてどこまで本当の事が書いてあるか眉ツバものだし、歴史を勝手に自分都合で書き直していたとしても真実かどうかわからない。山岡荘八の描く徳川家康は平和主義の忠義者で立派な御仁だけど、司馬遼太郎の描く徳川家康は狡獪で陰湿で嫌なジジイにしか思えない。どっちなんだよと思ってしまう。
 それにしても、日頃韓国についてロクでもないことを言ったり書いたりしている、いわゆるネトウヨの人や政治家の先生方の中には、孫娘が韓国大好きだったり、カミさんが韓流ドラマのファンだったりという人もいるんじゃないだろうか。おじいちゃん、韓国めちゃ楽しかったよ!はいお土産買ってきたよ、と孫から手渡されたキムチや韓国海苔をこんなもん食えるかと突っ返したり、そのまま捨てたりするんだろうか。今どきの女の子たちは日本と韓国の負の歴史を知らない分、素直に今の韓国の文化を愛し、受け入れているし、積極的にコミュニケーションしようとしている。そう考えるとアタマが保守的な大人よりもずっと健全かもしれないし、たぶん今日本と韓国が国交を断絶したら、いちばん抗議するのは「VIVI」とか読んでる若い女子たちかもしれない。何それ、わけわかんないんだけど、とアタマに来た彼女たちが友達や彼氏を連れて国会囲んでデモやって、内閣総辞職になったら面白いんだけどな。

 

マジカルコネクションな日々20 マジカルコネクションvol.85を終えて

f:id:yamagical:20190728182607j:imageいやぁ楽しかったよ。来れなかった人は残念でした。

そんなわけで、マジカルコネクションvol.85、無事終了しました。台風がやってくると言うことで気が気でなく、東京に台風が直撃したら中止になるのか、そもそも東京に無事行けるのかと心配だったけど、東京に行ったら晴れているf:id:yamagical:20190728182353j:imagef:id:yamagical:20190728182410j:imageて、途中曇ってはいたけど、結果的に一滴の雨も降らなかった。今回ご出演いただいたフライングドクターが晴れ女たちだったから、その威力を発揮してくれたおかげだ(おそるべしフライングドクター)。今回は天気に恵まれ、出演者に恵まれ、お店に恵まれ、そしてお客さんにも恵まれて、最高に楽しいライブができた。

オープニングを飾ってくれたフライングドクターはお茶目で可愛くて、それでいて凛々しくカッコよかった。石田力さんは高校の後輩であるフライングドクター、共演のアンドウケンジロウさん、そしてリキさんの同級生であった早崎詩生さんとコラボしてめちゃめちゃ楽しんでいた(早崎さんとお二人で鍵盤ハーモニカを弾きながら店内を練り歩いたのには興奮した)。お久しぶりの上野誠さんは上野誠節というべき、そうそうこれが聴きたかったんだよ、と言いたくなるステージと爆笑のMCで満場の観客を魅了していたし、宇野さんのカホンとのコラボもよかった。そして、トリの早崎さんとアンドウさんのコラボはまさに珠玉の名人芸と言うもので、ただただ聴き惚れていた。

エンディングセッションは、先月亡くなったドクタージョンの追悼で「アイコアイコ」をやった。上野さんのボーカルとギター、早崎さんのピアノ、アンドウさんのサックス、リキさんのバックボーカル、岩田さんと石田さんの鍵盤ハーモニカと宇野さんのカホン、最高にご機嫌なセカンドラインだった。ああ、この人たちと一緒にマジコネやれてよかったと心からそう思った。偶然集まったんだけど、やっぱり偶然じゃなくて縁なんだよな。

改めまして、岩田さん、石田さん、宇野さん、リキさん、上野さん、早崎さん、安藤さん、神保町試聴室の根津さん、スタッフの方、お越しいただきましたお客様、本当にありがとうございました!今はただ、口から出る言葉はありがとうだけです(小坂忠さんか)。

終演後は店の前の中華で打ち上げ。短い時間だったけどいろいろ話ができてよかった。


楽しかったなぁ。

 

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マジカルコネクションな日々19 マジカルコネクションvol.84は最高でした。

いやぁ楽しかった。もうその一言ですべて終わらせたいものの、そういうわけにもいかないから感想書かせてもらうけど、マジカルコネクションvol.84、無事終了しました。

梅雨が終わってるもんだと思っていたら、まさに梅雨真っ只中で朝から雨模様であったけど、たくさんのお客さんにお越しいただきました(とはいえ予約しといて来なかった人は、事情があった

だろうけど、とりあえず地獄へ堕ちろと言いたい)。リハも時間かかると思っていたら予想以上にサクサク終わったし、空いた時間に鶴舞の古本屋に行ったら村上春樹訳レイモンドカーバー全集の1冊を見つけたし(何やってんだよ)、ご出演いただいた皆さんのステージがとにかく素晴らしかった。

マジコネ84回(通算だと110回はやってるけど)の歴史で初のヒップホップとなるロストフィルムの松岡君がMCのYONONACAはキャッチーなメロディーラインとヒラマツさんの緻密なトラックと思わず一緒に歌いたくなるような印象的なサビがめちゃくちゃカッコよかったし、カポエラさんとの掛け合いも絵になった。そして、お久しぶりのフレンチソニックスも新しいサポートドラムを迎えて(バンドは久しぶりだ)、相変わらずの、洒落てるんだけど辛口な「最後の渋谷系」と言いたくなる楽曲を聴かせてくれた。さらにこちらも久しぶりのスチョりさんはピアノ一台とボーカルで満場の客席を酔わせてくれた。ピアノの弾き語りの人は多々いるけど、誰もスチョりさんの真似はできない。その独特の世界観を堪能できた。そのスチョりさんのステージで、ラストの曲をやるにあたって、一人で全部やるのも淋しいので誰か一緒にやってくれないですか、と声をかけたところ、最初はみんな躊躇していたけどフレソニのおち君、ついでbjonsのギターの渡瀬さんが参加して、キーはどうすんですか、キーなんかええやんと無茶ぶりを発揮しながらもスタートし(キー教えてくれたけどね)、それからbjonsのドラムの岡田さんがドラムを叩き、最後に同じbjonsのキーボードの谷口さんが参加して、ギター2本が参加してのセッションはバンドでのセッションになって場内大盛り上がりになった。スチョリさんとbjonsは旧知の仲ではあるけど、自然とこういうカタチになって演奏ができるなんて感動しないわけにはいかなかった。

これで終演という感じになったけど、もちろん初登場にしてトリを飾ってくれたbjonsはまさに文句なし圧巻のステージであった。初めてライブを観た時に、メロディーもサウンドもすべてが自分の琴線にドンピシャで、この人たちと一緒にマジコネをやりたいと思った時の感動がよみがえった。いいバンドだよなぁ。

で、終演後はエンディングセッション。今回は裏テーマがシティポップって何?だったので、曲は山下達郎さんの「パレード」を選んだ。イントロの、レコードでは坂本龍一が弾いていたピアノをスチョりさんに弾いてもらいたかったものの嫌がったのでそれはなしでスタートしたけど、これが最高でなくて何が最高なんだ、と言いたくなるような演奏だった。最高だった。今回はご出演の皆さんがそれぞれ個々で繋がっていることもあって、互いの音楽をリスペクトしているところがとても心地よかった。まさに今回は神回だったんじゃないだろうか。

改めまして、YONONACA、フレンチソニックス、スチョリさん、bjonsの皆さま、モモジさんはじめK・Dハポンのスタッフの皆さま、そしてお越しいただきましたお客様、本当にありがとうございました!やってよかった。それに、昼間の部にも来ていたHoSoVoSo君のファンでスチョリさんのファンでもある女の子が、今回の選曲を気にいってくれたみたいで、選曲のリストを教えてくださいと声かけてくれたのもうれしかった。なかなかそう言ってくれる人少ないからね。

終演後はすぐに帰るというスチョりさん、bjonsの皆さんも名残惜しそうに店にそのままいてあっちでこっちで語り合って、最後に皆で写真を撮影してお開きになった。それからフレソニと YONONACAの皆んなでバリバリ屋で打ち上げ。僕はグッタリしたので途中で出て、鶴舞から千種経由で本山へと帰った。

 

楽しかったよ。

 

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マジカルコネクションな日々18 「新聞記者」を観ましたか?

昨日、映画「新聞記者」を観てきた。

朝10時20分の上映だったけど、ツィッターを見てる分にはかなりお客さんが入っているようなので、念のためにと上映1時間前に映画館に行ったところ、すでに残席は僅かしかなかった。

テレビではロクに告知がされてなく、主にツイッターで情報をフォローしていただけだったのでそんなにお客が入るんだろうか、あるいは上映中止にならないかと心配していたけど、その必要はなかったようだ。

原作は官邸に物言える唯一の記者として知られる東京新聞の望月記者によるもので、世評がどうあれ観に行くつもりでいた。事前にいろんな人が感想がSNSに書き込まれていて、それらを読んだ限りではかなり面白い作品だと思って観に行った次第だったけど、想像をはるかに超える衝撃的な作品だったし、面白い映画であった。そして、ここまで官邸に喧嘩を叩き付けた映画がよく上映できたなと思った。

この映画がインディペンデントな作品で、上映される映画館も名古屋で言えばシネマテークやシネマスコーレ、東京だと岩波ホールだったらそれもわかるんだけど、メジャーなシネコンで上映されることに意義があった。しかも制作は官邸御用達の読売グループのVAPである。その辺の事情はよくわからないけど。

この映画はもちろんフィクションであるし、モデルとなる人物はいるが、「大統領の陰謀」や「グッドナイト&グッドラック」、あるいは昨年の「ペンダコンペーパーズ」のような実際の話を実在の人物や団体の表記で描いた作品とは異なる。

だけど、この作品で描かれている、公文書の改竄、総理御用達の記者によるレイプ事件の揉み消し、戦略特区による医学部大学院設立に関するスキャンダルと総理の意向の存在、官僚の自殺など、すべてが現実に目の前で起きていたことだった。だから、フィクションであっても、映画で描かれている世界は絵空事でも対岸の火事でもなく、リアルであるからこそ共感できるのである。細部の描写も細かく、内閣情報調査室で多くの職員たちが複数のアカウントを持ちながら、ネットで政権批判をする人(もちろん民間人)に嫌がらせのようなリプを書き込んでいる様にはゾッとして戦慄が走った。主人公である大蔵省から情報調査室に出向している松阪桃李演じる杉原に上司が「民主主義なんて形だけでいい」と吐き捨てる台詞にも不気味なほどに説得力があった。

よく上映できたと感心したけど、それ以前によくこの映画を製作することができたものだ。ハリウッドならともかく現在の日本の映画界だったら企画書の時点で握り潰れたんじゃないかと思うけど、気骨のある人がいたもんだ。松阪桃李も本田翼もよく出演したと思う。もう一人の主人公である韓国人のシムウンギョンが演じた新聞記者役は、ネットの情報によれば当初宮崎あおい満島ひかりにオファーがあったらしいけど反政府映画に出演することの批判を恐れて辞退し、それでシムウンギョンがアメリカで生まれ育った、母親が韓国人という帰国子女という設定にして、日本語があまり流暢でないのを逆手にとった設定になった。宮崎あおい満島ひかり、あるいは石原さとみが演じたらそれはそれで魅力的だっただろうけど、多分演技をし過ぎて駄目だったと思う。韓国人俳優が演じたことで(この部分もネトウヨにしてみれば格好の炎上ネタだろう)、抑制の効いた演技ができたんじゃないだろうか。

政権批判を直球で投げた、日本映画には稀なポリティカルなメッセージの濃い作品であるけど、サスペンス映画のような緊張感がある上質のエンタテインメント作品になっている。それは脚本のよさであり、監督の演出のよさであり、俳優陣の演技の賜物である。松阪桃李、シムウンギョンはもちろん、本田翼、北村有起哉田中哲司西田尚美(本田翼にとってノンノモデルの先輩だ)、高橋和也といった俳優たちの演技が素晴らしかった。反政府映画に出演、という批判を恐れずにこの作品に出演した俳優陣、そしてこの映画の製作に尽力したスタッフの方々には本当に敬意を称したい。世のジャーナリズムやマスコミが忖度ばかりで声高に批判を言うことを恐れている人ばかりだからこそ、この映画が世に出て、大ヒットしている現実はまさに一筋の光である。

シムウンギョンの新聞記者が「本当にこれでいいと思っているんですか?」と問いかけるシーンは、客席にいる僕たちに投げかけられたものであり、日本のマスメディアの人たち、変化はいらないこのままでいい、と現実に目を背けている人たちに「いい加減、目を覚ませ!目を逸らすな」と向けた言葉であり、だから心に突き刺さった。多くの人にこの映画を見て欲しい。心からそう思う。参院選の前にこの映画が公開され、大ヒットしている現実はとても意義のあることだ。このままでいいんですか?言いわけがない。だから投票所に行って、この現実を変えたい。

もっとも、年金なんかもらえなくてもいい。このまま不景気でいい。消費税が上がってもいい。外交なんか駄目でいい。沖縄の海なんか埋め立てればいい。アメリカのご機嫌とってポンコツな兵器を買いまくればいい。韓国なんか国交断絶すればいい。そんな人は絶対観ないだろうけど、そう思っている人にこそ尋ねたい。

 


「本当にこれでいいと思っているんですか?」

マジカルコネクションな日々17 歴史は誰にも語れない其ノ三を終えて

いやぁ、楽しかった。おかげですっかり腑抜けている日曜の朝です。
と言う訳で、マジカルコネクション外伝〜歴史は誰にも語れない〜其ノ三無事終了しました。梅雨時だから仕方ないとはいえ、朝からはっきりしない天気で、夜にはまた雨足が激しくなるという天気予報だったし、開店してしばらくはお客さんもなかなか来なかったものの、開演前になってたくさんお見えになって結果は満員御礼となった。前回年末にやった時はお客さんが6人ぐらいしか来なかったのになんだこれはと一同驚いてて、ついにこの歴史トーク&ライブもブレイクしたのか、と一瞬思ったものの、よく考えたら初めて来た人が多く、何かよくわからないけど来てしまった人が多かったんじゃないだろうかと思い直した。何せ音楽やるより歴史の話をしたいミュージシャンの集まりなので、当初音楽は今回初出演の安井旭堂さんと京都からお越しのパックワンだけにして、後はひたすら歴史トークをしようと言う意見もあったけど、音楽なしだと客が来ないでしょう、と言う至極真っ当な意見が出て、持ち時間15分でみんな渋々演奏することになった(渋々と言うわけでもないか)。
今回のトークのお題は「あなたが知りたい歴史の真相」で、とにかくみんなこの日のために周到に用意をして、レジュメを用意したりして、熱の入り方がハンパなかった。
さすがに僕も入れて7人となると持ち時間も短かかったので、次回は開演を前倒してさらにトークの部分を拡大したいと思った。みんなの意見も絡めたいしね。ちなみに僕が持ってきたのは「家康の知恵袋であった僧天海は明智光秀だった?」で、安井さんは忠臣蔵、HoSoVoSoは桶狭間の戦い、そらしのちゃんは妖刀村正、渡邊君は龍馬暗殺、安島君は新撰組、パックワンは本能寺について語ってくれました。しかし、安島君の絵の旨さにはビックリしたな。
もちろん、音楽の方も持ち時間は短かかったものの、逆に言えば短い分だけ凝縮していて、それぞれの持ち味がしっかり出ていたし、安井さんは初出演だったけど、他のみんなは旧知の関係でそらしのちゃんはHoSoVoSoとすぱっつ両方のサポートしているから双方ともコラボできたし、パーポーズと安島君のスピッツのカバーも久しぶりに聴けた。HoSoVoSoの曲ではパックワンがカズーとボーカルで参加したりととにかく楽しかった。さらにオープニングを飾ってくれた安井さんの琵琶と語りは、会場の空気がピンと引き締まった感があって圧倒された。僕は何度か拝見させてもらってたけど、初めて観た人は度肝を抜いたんじゃないだろうか。素晴らしかったな。
演奏もトークも充実していたし、お客さんはたくさん来てくれたしで、本当にやってよかったと思っている。改めまして、安井さん、パーポーズの渡邊君とさゆりさん、安島君、しのちゃん、HoSoVoSo君、パックワン、今回も会場をご提供いただきました「カフェあらたると」店主のタンクちゃん、そしてお越しいただきましたお客様一同、ありがとうございました。特に今回司会を担当して、最初から最後までずっと名司会ぶりを発揮した(本当にうまい)HoSoVoSo君はさらに感謝の気持ちでいっぱいです。
其ノ四も必ずやりますのでご期待ください。


終演後もそのまま「あらたると」で打ち上げ、と言うかトークの続きをして、時計が日をまたぐ前にお開きとなった。雨足は激しかったけど、帰り道も思い出すと顔がほころびそうだった。


ああ、楽しかった。


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マジカルコネクションな日々16 テデスキトラックスバンドがここにいる奇跡

   昨日、東京ドームシティホールでのテデスキトラックスバンドの来日公演に行った。東京は2日目で、先日名古屋でライブがあったからそっちに行けばいいだろ、と言われそうだけど、平日は仕事の都合で行けない可能性があるので、だったら休日の東京へ行く方が(チケットは取りにくいものの)確実に行けるのだから仕方ない。    東京ドームシティホールは、初めて行く会場であったけど、東京ドームと隣り合わせにある施設内のホールで(ちなみにこの日の東京ドームではサザンオールスターズのコンサートが行われていた)、名古屋会場がZeppだったのでそれぐらいの規模かと思っていたら想像していたより大きなコンサートホールで、キャパで言ったら名古屋市公会堂ぐらいはあるんじゃないだろうか。予想していた以上にハコは大きかったが、もちろん満員御礼であった。客層は、圧倒的に中高年の男性が多く、次いで高齢の方も目立った。若い人もいないわけではないけど少なかった。4月の武道館でのエリッククラプトンほどではないにしろ、オールマンブラザーズバンドをリアルタイムで聴いてた世代の先輩たちにとって、デレクトラックスの唸るようなスライドギターはもちろん、テデスキトラックスバンド自体のブルーズベースのサザンロック特有の分厚く骨太のグルーヴは堪らない魅力があるんだろうな。長髪でミュージシャンみたいな人もたくさんいた。ちなみに、僕にデレクトラックスの存在を教えてくれたピーターバラカン師匠に会えるかと、淡い期待を抱いてライブマジックのTシャツを着て行ったけど、残念ながら会えなかった。
   ライブは最新作「サイン」を中心に演奏され、言うまでもなく最高のライブだった。新譜がリリース直後に、デレクトラックスバンド以来ずっとデレクトラックスを支え続けたキーボード&フルート奏者のコフィバーブリッジが若くして逝去して新しいキーボードが加入したことで感傷的になっても不思議はなかったけど、そういう空気はあまり感じなかった。ツインギター、ツインドラムでホーンセクション、バッキングボーカルがそれぞれ3人いてという大編成のバンドによる、前述のような重厚でグルーヴ満載のサウンドがもうたまらなかった。デレクトラックスはすっかりヒゲ面が様になってきて、いくつになったんだろと年齢調べたら今年で40歳だった。まだ40、もう40、どっちでもいいけど、貫禄がついてきたし、言うまでもなくギターは圧巻で、凄いったらなかった。なんでこんなギターが弾けるのか不思議だ。ボーカル&ギターのスーザンテデスキも貫禄が増して、なんだかアメリカ映画に出てくるミッションスクールの校長先生みたいだった。BBキングのカバーで長尺のギターソロを弾いてたけど、これがまた素晴らしく、弾き終わった後に満場の客席から大きな拍手が起こった。デレクトラックスバンドのリードボーカリストだったマイクマティソンのボーカルがたくさん聴けたのもうれしかった。
    デレクトラックスは再結成された後のオールマンブラザーズバンドのギタリストでもあったけど、このツインドラム、ツインギターでホーンやコーラスもある大編成を聴きながら、変な言い方になるけど、これがデレクトラックスにとってのオールマンブラザーズバンドなんだなと思った。兄弟ではないけど、カミさんが才能あるボーカリストで凄腕のギタリストであり、自分がめざす音楽を体現できるメンバーが揃った理想のバンドを手に入れたことの喜びが溢れていたように見えた。       
    しかし、よく思うことだけど、こうして改めてライブを観て思ったのは、2019年現在、地球上にテデスキトラックスバンドが存在していることが奇跡に思えてならない。70年代的なバンドではあるけど、70年代には存在しなかっただろうし、やっぱり今だからこそ成り立ってるバンドに他ならない。70年代から延々とやってるバンドでなく、現在のバンドがこの音を鳴らしていることが重要なんだと思うし、だから骨太なアメリカンロックや新しい解釈によるブルーズに飢えてる人たちが大挙して集まるんだと思う。もちろん、僕もその一人ではあるけど。ノスタルジアとして、デレクトラックスにデュアンオールマンの面影を重ねる人もいるかもしれないけど、それは野暮というものだ。
だけど、17時開演で本編終了が18時30分、アンコール入れても2時間ないのはちょっと物足りないかな。2時間30分ぐらいやってもいいんじゃない、と思うんだけど、まぁ考えるところがあるんだろうな。それと、4年に1回でいいから、デレクトラックスバンドもやってほしいものだ。カミさんに怒られるわけじゃないだろうに。


   会場出たのが19時で宵の口もいいとこなので、そのまま渋谷へ出て、レコファンタワレコをハシゴして、レコファンでエブリシングバットザガール、タワレコニューオーダーのシングルコレクションが2枚組で1200円で売ってたので買う。テデスキトラックスバンドのライブ帰りにニューオーダーのCD買ってどうすんだ、という気もするけど。

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マジカルコネクションな日々15 今池アクシデンツの夜に寄せて

   というわけで(いつもこの挨拶ではじまるけど深い意味はないです)、昨夜は今池得三での加奈崎芳太郎with今池アクシデンツのワンマンライブに行ってきました。得三行くのもシノックスに会うのも3日ぶりだけど、御大加奈崎さんにお会いするのは1年ぶりぐらいになる。当初なかなか集客が難しくて、という話を聞いていたから、仕事してる場合じゃないな、今回は行かないと、と思っていたものの、やる事が片付かなく、振り払うようにして会社を出て、お店に着いたのは21時を過ぎていた実際店内に入ってみたら満員御礼であった。ああ良かった、と別に自分のライブでもないのに安心したし、うれしかった。
    お久しぶりのアクシデンツのライブであったけど、加奈崎さんは齢70を迎えてさらにアグレッシブだった。熱量がハンパない、という言葉がふさわしいほど、熱気があったし、歌声は力強かった。加奈崎さんはバンドのボーカリストとしての存在感を一層際立たせていて、バンドとしての一体感はさらに強靱になっていた印象があった。


    改めて思ったけど、加奈崎さんは本当に凄い人だ。年齢の事を何度も書くのは失礼だけど、加奈崎さんの同世代の、同時代に活動していたアーティストで今も現役で活躍している人はたくさんいるけど、加奈崎さんみたいな人は他にいないんじゃないだろうか。
   古井戸という一時代を築いたキャリアと名声、幾多の名曲があることを考えたら、過去の遺産で活動することはたやすいことだと思うけど、加奈崎さんは過去に生きるのではなく、今を生きているし、このバンドと新しいことをやって、前へ進み、今まで見たことのない景色を一緒になって見てやろうという意欲と気概にあふれている。少なくとも僕は、晩年に孫のような若手と一緒にバンドを組んで活動していたムッシュかまやつ氏以外の例外を知らない。僕にしても、ソロのライブだったら「らびん・すぷんふる」や「飲んだくれジョニィ」を聴きたいと思うけど、アクシデンツのライブで古井戸を聴きたいとは思わない。アクシデンツのライブではアクシデンツの曲が聴きたい。隣に森さんとシノックスがいて、後ろに坂田さんとよっぴんさんがいる最高のバンドの演奏で聴きたい。そう思っている。何にしても仕事ほっぽらかして得三に行ってよかった。仕事はいつでもできるけど、加奈崎さんに会えるのは滅多にないんだから。アンコールも2回あって、2回目は加奈崎さんの弾き語りで締めくくられた。ファンの方にプレゼントされたというアイパッドプロで歌詞を検索しようとして、操作に手間取っていたのはおかしかったけど。
   終演後はお客で来ていた友人・知人の皆さんやバンドの皆さんとお話をしたり、短い時間ではあったけど加奈崎さんともお話させていただいた。加奈崎さんに今年って古井戸が解散して40年ですよね、と言ったら、ああそうだな、と一瞬感慨深く頷いていたけど、40年前なんて僕は中学生だし、森さんと坂田さんは小学生だし、よっぴんさんでさえ高校生で、シノックスは生まれていなかった。それだけの長い歳月が流れていて、確固としたキャリアがありながら、今池界隈では知らない人はいなくても全国区では無名な名古屋のミュージシャンたちと一緒に新しいことをしようとする加奈崎さんは凄い人だ。あまり凄い、凄いと書くのもアタマの悪い中学生みたいで何だけど、凄いんだからしょうがない。これからもずっと追いかけていきたい。


   今週の金曜日は東京でライブがあるし、10月には加奈崎さんの地元である札幌でアクシデンツのライブがあるみたいで、そこにはなんと仲井戸麗市さんもご出演されるという。チャボにこいつら自慢したいんだよな。加奈崎さんはうれしそうにそう言っていた。