マジカルコネクションな日々15 今池アクシデンツの夜に寄せて

   というわけで(いつもこの挨拶ではじまるけど深い意味はないです)、昨夜は今池得三での加奈崎芳太郎with今池アクシデンツのワンマンライブに行ってきました。得三行くのもシノックスに会うのも3日ぶりだけど、御大加奈崎さんにお会いするのは1年ぶりぐらいになる。当初なかなか集客が難しくて、という話を聞いていたから、仕事してる場合じゃないな、今回は行かないと、と思っていたものの、やる事が片付かなく、振り払うようにして会社を出て、お店に着いたのは21時を過ぎていた実際店内に入ってみたら満員御礼であった。ああ良かった、と別に自分のライブでもないのに安心したし、うれしかった。
    お久しぶりのアクシデンツのライブであったけど、加奈崎さんは齢70を迎えてさらにアグレッシブだった。熱量がハンパない、という言葉がふさわしいほど、熱気があったし、歌声は力強かった。加奈崎さんはバンドのボーカリストとしての存在感を一層際立たせていて、バンドとしての一体感はさらに強靱になっていた印象があった。


    改めて思ったけど、加奈崎さんは本当に凄い人だ。年齢の事を何度も書くのは失礼だけど、加奈崎さんの同世代の、同時代に活動していたアーティストで今も現役で活躍している人はたくさんいるけど、加奈崎さんみたいな人は他にいないんじゃないだろうか。
   古井戸という一時代を築いたキャリアと名声、幾多の名曲があることを考えたら、過去の遺産で活動することはたやすいことだと思うけど、加奈崎さんは過去に生きるのではなく、今を生きているし、このバンドと新しいことをやって、前へ進み、今まで見たことのない景色を一緒になって見てやろうという意欲と気概にあふれている。少なくとも僕は、晩年に孫のような若手と一緒にバンドを組んで活動していたムッシュかまやつ氏以外の例外を知らない。僕にしても、ソロのライブだったら「らびん・すぷんふる」や「飲んだくれジョニィ」を聴きたいと思うけど、アクシデンツのライブで古井戸を聴きたいとは思わない。アクシデンツのライブではアクシデンツの曲が聴きたい。隣に森さんとシノックスがいて、後ろに坂田さんとよっぴんさんがいる最高のバンドの演奏で聴きたい。そう思っている。何にしても仕事ほっぽらかして得三に行ってよかった。仕事はいつでもできるけど、加奈崎さんに会えるのは滅多にないんだから。アンコールも2回あって、2回目は加奈崎さんの弾き語りで締めくくられた。ファンの方にプレゼントされたというアイパッドプロで歌詞を検索しようとして、操作に手間取っていたのはおかしかったけど。
   終演後はお客で来ていた友人・知人の皆さんやバンドの皆さんとお話をしたり、短い時間ではあったけど加奈崎さんともお話させていただいた。加奈崎さんに今年って古井戸が解散して40年ですよね、と言ったら、ああそうだな、と一瞬感慨深く頷いていたけど、40年前なんて僕は中学生だし、森さんと坂田さんは小学生だし、よっぴんさんでさえ高校生で、シノックスは生まれていなかった。それだけの長い歳月が流れていて、確固としたキャリアがありながら、今池界隈では知らない人はいなくても全国区では無名な名古屋のミュージシャンたちと一緒に新しいことをしようとする加奈崎さんは凄い人だ。あまり凄い、凄いと書くのもアタマの悪い中学生みたいで何だけど、凄いんだからしょうがない。これからもずっと追いかけていきたい。


   今週の金曜日は東京でライブがあるし、10月には加奈崎さんの地元である札幌でアクシデンツのライブがあるみたいで、そこにはなんと仲井戸麗市さんもご出演されるという。チャボにこいつら自慢したいんだよな。加奈崎さんはうれしそうにそう言っていた。