マジカルコネクションな日々13 大瀧ヌーバンドのレコ発ライブに行った話

そんなわけで伏見ライオンシアターでの大瀧ヌーバンドのレコ発ワンマンライブ「明滅とグラデーション」に行ってきた。大瀧君のボーカル、ゲストにギターでシノックス、コーラスでくすりさん、さらにバイオリンも加わってのバンドの演奏、ステージ後方のスクリーンに映し出される映像、会場の天井から吊るされたいくつものランタン、配布されたリーフ、さらに衣装に至る細部まで素晴らしかった。ライブは3部構成で、ヌーバンドだけの演奏、フルバンドでの演奏、大瀧君のギター1本での弾き語り、坂本君のコントラバスとバイオリン、大瀧君のボーカル&ギター、大瀧君とくすりさんのデュエット、ミキちゃんのピアノだけの演奏での大瀧君のボーカルという編成など、演奏の形態も様々で長丁場のライブではあったが休憩が2回あったこともあり、ダレることなく最後まで楽しませてもらった。大瀧君は、知ってる人は周知の事だけど、とにかく真面目な人だ。生真面目と言っていいし、MCで爆笑するような面白い話ができるわけでもないけど、音楽だけでなく、ライブの会場の構成、演出に至る表現に対してとにかく誠実に向かい合っている。そしてヌーバンドの皆んなも輪をかけて真面目だし、大瀧君がやろうとしていることを全力でサポートしている、というより、自分たちも一緒になってとことんこだわり抜いて楽しんでいる感がある。だから、バンドメンバーというよりはもっと濃密な、人生を共有する同志なんだと思った。
真面目すぎるアーティストというのは、概ね表現自体が堅苦しくて聴いてて疲れるからあまり聴きたくないし、だいいち音楽自体が面白くないから近寄りたくないけど、大瀧君は真面目だけど堅苦しくさはないし、音楽の質が高いし、妥協なく、誠実に表現に向かっている姿勢が好きだ。ジン君はパーカッションだけでなくドラムも叩いたけどそのドラムがとても良かったし、坂本君はエレキベースコントラバスも見事だったし、ミキちゃんのキーボードはとても色気があった。くすりさんはコーラスもボーカルも愛らしかったし、バイオリンの方も華のある演奏を聴かせてくれたし、名古屋の高田漣ことシノックスのペダルスティールとギターも絶品だった。シノックスが演奏に入るとやっぱり安定感があった。
大瀧君のスタイルや音楽性は最初から変わっていないけど、初期の頃はまだ暗中模索している感があった。だけど今は、これが大瀧ヌーバンドなんだと確信を持って表現に取り組んでいるように思えた。その自信が高い音楽性に繋がっているし、義理で集めたのではなく、本当にヌーバンドが聴きたいという人たちで会場をソールドアウトにしたんだと思った。本当にいいライブだったし、最高の場所で最高の時間を過ごすことができて大満足だった。これからの活躍も楽しみだ。幕間のコントみたいな映像はあんまり面白くなかったけど、それもまた観客にリラックスしてもらおうという大瀧君の配慮だったんだろうから、まぁいいのか。